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vol. 1

私が子どもの頃に読んだ本

みなさんが生まれた時の様子を聞いたことがありますか。きっとお母さんは、病院でお医者さんと看護婦さんに助けられて、みなさんを産んだのでしょうね。 ところが、私の世代の人たちは、ほとんどは自宅で生まれたんです。自分の家で産婆さんという職業の人の助けを借りて、お母さんのお腹から出てきたのです。 しかも、私の生まれた広島県の呉市では、お母さんが赤ちゃんを産む時は、男の人はみんな家の外に出ていなければならないという風習があったんです。だから、私が生まれた2月23日、父と二人の兄は寒い戸外に出されて、「おぎゃあ」の声を待っていたらしいですよ。やがて私がこの世で最初の声をあげた後、やっと3人の男たちは家に入れてもらったのです。そこには、新聞紙の上にゴロンと私が転がっていたそうです。昔の新聞紙は印刷技術も低く、読んでいるうちに指が真っ黒になるほどでした。当然生まれたばかりの私の裸の体じゅうに、新聞から剥がれた活字がいっぱい裏返しに貼りついていたそうです。それを目撃した2番目の兄は昨年亡くなったのですが、よく笑いながら言っていました。「だからお前は活字が好きで好きでたまらなくなったのだ」と。

小さいときには、いっぱい遊んでいっぱい本を読みました。記憶に残っている本はたくさんあります。読んで損のない本だと思うものを10冊ほど挙げておきましょう。

宇宙航空研究開発機構 的川泰宣



クオレ−愛の学校/アミーチス 著 矢崎源九郎 訳

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記憶に残る限りで、最初に感動を覚えた本です。ある小学校の教室で展開していく日々の出来事を、エンリコという男の子が日記風に書いていくかたちになっているのですが、その子のことよりも、正義感に溢れたガルローネという腕白な男の子が大好きでした。そしてこの『クオレ』のあちこちに散りばめてある「母を訪ねて三千里」などの話を、涙ながらに何度も読み続けました。

出版社:偕成社
価格:840円
ISBN:4-03-651280-3
発行年月:1992.08

最後の授業/ドーデ 著 南本史 文

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フランス語を話していたフランス・アルザス地方の人たちが、プロイセン(ドイツ)の占領によって、ドイツ語しか使えなくなるという事態に陥った時のドラマです。フィクションだという説もあるようですが、小学生の私の心を何だか強く動かしたこの物語の深い悲劇性・運命性は、フィクションかどうかを超えて強烈なものがありました。「祖国」という言葉は、いつもこの懐かしい物語を私に思い出させます。

出版社:ポプラ社
価格:630円
ISBN:4-591-01046-5
発行年月日:1981.6

君たちはどう生きるか/吉野源三郎 著

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私がいつか書いてみたいと思っているのは、こんな本です。私が生きてきた日本の子どもたちに大きな影響を与えた本だと思います。中学生のコペル君という男の子が精神的に成長していく有様を、大学を卒業したばかりの叔父さんのメッセージ形式で生き生きと綴っています。書名を見ると、何だかとっつきにくいのですが、そんなことはありません。大人になってからも何度も読みました。いつも教えられることの多い本だと思いますね。

出版社:岩波書店
価格:735円
ISBN:4-00-331581-2
発行年月日:1982.11.16

ジャン・クリストフ(全4巻)/ロマン・ロラン 著 豊島与志雄 訳

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ロマン・ロランは、私の大好きな作家の一人です。人間の心の偉大さ、人間の善良さだけを人間の価値として認め、人間が理性を失わず人間らしく平和に正しく生きていく事を理想とし、そのために生涯にわたって文学を通して戦いつづけました。この『ジャン・クリストフ』は、彼がローマに留学した時のある日、ローマ郊外のジャニコロの丘で、西に沈む太陽の光を受けて赤く燃えているローマの町を見て、執筆の霊感を得たそうです。ベートーベンの生涯をモデルにしてあるそうです。ぜひ一度は読んで欲しい本ですね。

出版社:岩波書店
価格:798円
ISBN:4-00-325551-8
発行年月日:1986.6.16

走れメロス/太宰治 著

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1940年5月に、雑誌「新潮」に発表された短編小説です。この作品は、子どもの頃の私に「人間と人間とが信じあうことの大切さ」とか、「友情は命よりも尊い」ことを教えてくれました。しかし大きくなって、この作品にその反対のこと(信頼ではなく不信)を読み取る人も多いことを知りました。みなさんはどう感じるでしょうか。短い作品ですから読んでみてください。

出版社:新潮社
価格:420円
ISBN:4-10-100606-7
発行年月日:1954.04.07

宇宙=1、2、3…無限大/ジョージ・ガモフ 著 崎川範行・伏見康治・鎮目恭夫 訳

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ガモフは「ビッグバン」という宇宙の始まりの大事件を予言した科学者です。この人の書いた一連の科学解説の本は、ワクワクするほど楽しいものでした。その中で最初に私が読んだのがこの本です。他にも『不思議の国のトムキンス』など、いずれも今読んでも面白いですよ。私たちの世代の自然科学者が小さい頃に読んだ本についてアンケートをとったら、この本がトップになると思いますよ。

出版社:白揚社
価格:4,410円
ISBN:4-8269-1053-3
発行年月日:1992.04

以上、とりあえず6冊の本を紹介しました。みなさんがもうちょっと大きくなってから読める本としては、『古代への情熱』(シュリーマン 著)、『竜馬が行く』(司馬遼太郎 著)、『風姿花伝』(世阿弥 著)、『武士道』(新渡戸稲造 著)、『氷川清話』(勝海舟 著)など素晴らしいものがいっぱいあります。本ばかり読んでも立派な人間にはなれないことは確実ですが、本によって初めて分かることも多いですから、ぜひ本と仲良しになってくださいね。

※画像掲載に関して、出版社の許諾を受けています。

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